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看護師の移住マネーガイド
移住・住まい

家賃相場の「平均」に騙されないための3つの確認——統計の家賃と募集家賃はなぜ違うのか

本サイトの都市ページに並ぶ平均家賃は、これから部屋を借りる人が払う金額ではありません。小売物価統計調査の民営家賃を単身30㎡想定に換算した値で、何年も前から住み続けている人の契約も含んだ平均だからです。この記事では、この数字が都市どうしの比較には使えて、引っ越し後の家計の見積もりには使えない理由を、3つの確認ポイントに分けて説明します。

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看護師の移住マネーガイド 運営部

結論: 統計の平均家賃は「順位をつける道具」であって「予算表」ではない

本サイトが52都市(都道府県庁所在市・政令指定都市)で使っている平均家賃は、総務省の小売物価統計調査の民営家賃です。民営家賃とは、公営住宅や社宅ではない民間の賃貸住宅で実際に支払われている家賃のこと。ここには、いま募集中の部屋だけでなく、何年も前に契約して住み続けている部屋も含まれます。つまりこの平均は、これから部屋を探すあなたが目にする募集家賃(いま市場に出ている部屋の提示価格)とは、そもそも数えている対象が違います。

だからといって使えない数字ではありません。同じ物差しで52都市を測っているので、都市どうしの高い・安いを比べる用途では十分に機能します。問題は、この値をそのまま自分の家計に持ち込んだときに起きます。使い分けを間違えないために、数字を見る前に次の3つを確認してください。

  1. その平均は誰が払っている家賃か(募集中の部屋だけの平均か、住み続けている人も含む平均か)
  2. どの面積・どの範囲を指した値か(何㎡想定か、市の値か県の値か、東京なら23区平均か)
  3. 自分は何にその数字を使うのか(都市を絞り込むためか、引っ越し後の家計を組むためか)

まず数字の幅を見ておきます。52都市で最も家賃が高いのは東京23区の90,336円、最も安いのは佐賀市の31,064円で、差は月59,272円。年額に直すと711,264円です。家賃は都市選びで最も大きく動く費目で、この幅の中でどこに自分が着地するかを見誤ると、他のどの計算も合わなくなります。

平均家賃が安い都市と高い都市(52都市・標準条件: 単身30㎡想定)
順位(安い順)都市平均家賃(月)年額
1位佐賀市31,064円372,768円
2位和歌山市32,018円384,216円
3位山口市33,291円399,492円
50位横浜市62,436円749,232円
51位川崎市67,309円807,708円
52位東京23区90,336円1,084,032円
出典: 小売物価統計調査(動向編)民営家賃(1か月3.3㎡当たり) 2026

確認1: その平均は、誰が払っている家賃か

この節でわかるのは、統計の平均家賃が募集家賃より低く出る仕組みと、そのズレが都市の比較をどこまで壊すかです。結論から言うと、ズレの向きは52都市すべてに共通するため比較は生き残りますが、ズレの大きさがどれくらいかは本サイトのデータでは測れません。

統計が数えているのは「いま実際に支払われている家賃」です。母集団には、募集中の空室ではなく、すでに人が住んでいる部屋が入ります。一方であなたが不動産サイトで見る募集家賃は、いま空いていて借り手を探している部屋の価格だけで決まります。同じ「家賃」という言葉でも、片方は入居中の全契約の平均、もう片方は新規契約の提示価格で、集合が重なっていません。継続入居中の契約が平均を押し下げるため、統計値は募集家賃より低く出る傾向があります。ただしこれは統計の定義(継続入居中の契約を含む)から導かれる推論であり、本サイトのデータで検証した値ではありません。募集家賃の実額を並べて突き合わせた結果ではない、という前提で読んでください。

重要なのは、この押し下げが特定の都市だけに起きるわけではないことです。継続入居を含むという構造は52都市すべてに共通するので、ズレの向きも共通します。したがって「A市よりB市のほうが家賃が高い」という大小関係は、統計値で判断しても大きくは崩れません。ただし、ズレの大きさが都市ごとに等しい保証はなく、その検証もこのデータではできません。順位は信頼できるが、順位の差の細かい幅までは保証できない、という程度に受け取ってください。

確認2: どの面積・どの範囲を指した値か

この節でわかるのは、表示されている家賃がどんな換算と範囲の上に成り立っているかです。面積の前提、市の値であること、東京23区が23区の平均であることの3点を押さえます。

3.3㎡当たりの単価を30㎡に伸ばしている

都市ページに表示している平均家賃の作り方

表示家賃 = 3.3㎡当たりの民営家賃 × 30 ÷ 3.3

この式を逆算すると、東京23区の90,336円は3.3㎡当たり約9,937円、佐賀市の31,064円は約3,417円に相当します。

この換算は、家賃が面積にきれいに比例することを前提にしています。実際の賃貸市場でその前提がどこまで成り立つかは、本サイトのデータでは検証できません。また30㎡というのは単身者の目安として置いた想定であり、あなたが借りたい間取りが25㎡でも40㎡でも、この表示値は変わりません。自分の希望面積が30㎡から離れているほど、表示値と実感のズレは大きくなります。

県の値ではなく、その市の値である

家賃は市単位の調査値です。一方、本サイトの想定年収は賃金構造基本統計調査の都道府県値を使っているため、同じ県にある都市は年収がほぼ同じで、家賃だけが違うという形になります。この構造がはっきり見えるのが、1つの県から複数の都市が入っている次の4県です。

同じ県にある複数都市の平均家賃と「毎月残るお金」(想定年収は県単位のため同一県内でほぼ同じ)
都市平均家賃(月)想定年収残るお金(月)
神奈川県横浜市62,436円546.3万円135,483円
神奈川県川崎市67,309円546.3万円131,735円
神奈川県相模原市52,127円546.3万円148,117円
静岡県静岡市41,991円521.7万円146,924円
静岡県浜松市33,327円521.7万円157,388円
大阪府大阪市57,664円560.0万円155,437円
大阪府堺市47,691円559.8万円163,056円
福岡県福岡市44,500円472.0万円115,491円
福岡県北九州市34,336円472.0万円125,633円
出典: 小売物価統計調査(動向編)民営家賃(1か月3.3㎡当たり) 2026

神奈川県では、川崎市67,309円と相模原市52,127円で月15,182円、年182,184円の差があります。年収は同じ546.3万円なのに、残るお金は川崎市131,735円に対して相模原市148,117円。県単位の平均では見えない差です。同じことは静岡県(静岡市と浜松市で月8,664円差)、大阪府(大阪市と堺市で月9,973円差)、福岡県(福岡市と北九州市で月10,164円差)にも起きています。

ここから言えるのは2つです。ひとつは、県単位で家賃を語ってはいけないこと。もうひとつは、本サイトの値もあくまでその市の値であって、同じ県の他の市町村には当てはめられないことです。たとえば県庁所在市の隣の市に住んで通勤する計画なら、この表示値は出発点にしかなりません。

東京23区は「23区の平均」である

東京23区の90,336円は、23の区をひとまとめにした平均です。23区の中でどの区が高くどの区が安いかは、本サイトが持っているデータでは分解できません。都心部の区と周辺部の区を同じ90,336円で見積もると、どちらの側にも外れます。東京都内を検討している人は、この数字を「東京23区は52都市で最も家賃が高く、2番目の川崎市より月23,027円高い」という位置づけの確認に使い、実額は区とエリアを決めてから調べてください。

確認3: 相対比較に使うのか、実額の見積もりに使うのか

この節でわかるのは、統計の平均家賃が使える用途と使えない用途の線引きです。線引きを間違える典型は、片方の都市に自分が見つけた募集家賃の実額を入れ、もう片方に統計値を入れて比べてしまうことです。

統計の平均家賃で足りる用途と足りない用途
使い方この平均家賃で足りるか理由
候補都市のどちらが家賃の高い街かを判断する足りる同じ調査・同じ換算で52都市を測っているため、大小関係は保たれやすい
候補を5都市から2都市に絞り込む足りる順位づけの材料として、全都市が同じ物差しに乗っている
引っ越し後の毎月の家計を組む足りない継続入居中の契約を含む平均で、募集家賃より低く出ると考えられる(統計の定義からの推論であり本サイトでは未検証)
住宅手当や寮の条件と比べて得かを判断する足りない手当は求人票の実額、家賃は統計の平均で、単位が揃っていない
敷金・礼金を含む初期費用を見積もる足りない月額家賃の統計であり、一時金は含まれていない
出典: 小売物価統計調査(動向編)民営家賃(1か月3.3㎡当たり) 2026

混ぜたときに何が起きるかを、残るお金の順位で示します。ある1都市だけ家賃を月1万円高く見積もり、他の51都市は統計値のままにすると、順位は次のように動きます。1万円という幅は影響を見るための仮定であり、実際のズレの大きさを示す数字ではありません。

その都市の家賃だけを月1万円高く見積もったときの「毎月残るお金」の順位(52都市中)
都市統計値どおり統計値どおりの順位家賃+1万円のとき+1万円時の順位
仙台市148,951円7位138,951円12位
札幌市139,289円12位129,289円18位
横浜市135,483円14位125,483円20位
東京23区122,558円22位112,558円33位
出典: 小売物価統計調査(動向編)民営家賃(1か月3.3㎡当たり) 2026

月1万円の見積もり違いで、東京23区は22位から33位へ11ランク、仙台市は7位から12位へ5ランク下がります。順位は「その都市より残るお金が大きい都市の数+1」で数えています。残るお金の上位は僅差で並んでおり、たとえば5位の名古屋市155,509円と6位の大阪市155,437円の差はわずか72円です。1都市だけ実額、他は統計値という比べ方をすると、この僅差の並びは簡単に壊れます。比べるなら全都市を統計値で、あるいは全候補都市を実際の募集家賃で。どちらかに揃えてください。

家賃の読み違えが、他のどの費目より効く理由

この節でわかるのは、家賃の誤差が家計に与える影響の大きさを、物価の地域差と比べた実数です。結論として、家賃の都市差は物価の都市差のおよそ6.4倍あります。

本サイトは生活費を、家計調査にもとづく基礎生活費の月15.0万円に、消費者物価地域差指数(家賃を除く総合・全国=100)を掛けて都市別に調整しています。この指数の幅は、最も高い横浜市の103.3から最も低い前橋市の97.1まで6.2ポイント。15.0万円に掛けても月9,300円しか動きません。一方、家賃の幅は東京23区90,336円と佐賀市31,064円で59,272円です。

家賃の都市差と生活費の都市差の比較

59,272円 ÷ 9,300円 ≒ 6.4倍

家賃は最高値と最低値の差、生活費は物価地域差指数の幅6.2ポイントを基礎生活費15.0万円に掛けた額。家賃のほうが約6.4倍大きく動きます。

家賃差が残るお金にそのまま乗ることは、大阪市と堺市の比較でよくわかります。想定年収は560.0万円と559.8万円でほぼ同じ。家賃は大阪市57,664円、堺市47,691円で9,973円の差があり、物価指数は大阪市98.5、堺市100.0で堺市のほうが月2,250円高くつきます。結果、残るお金は大阪市155,437円に対して堺市163,056円で、月7,619円、年91,428円の差になりました。家賃差が生活費差を上回った分が、そのまま手元の差になっています。

この関係は自分の見積もりにもそのまま当てはまります。家賃を月1万円読み違えれば、年12万円、5年で60万円ぶん計画がずれます。転職に伴う引っ越しでは敷金・礼金・引越代・家具家電で数十万円が先に出ていくので、そこに月々の読み違いが重なると、回収期間の見通しが立たなくなります。

募集家賃を自分で確認する手順

この節でわかるのは、統計値から実額へ降りるための具体的な手順です。都市を2〜3か所に絞ったあと、次の順で進めてください。1都市あたりまとまった時間がかかるので、候補を絞ってから着手するほうが効率的です。

  1. 勤務先候補の病院を1つ決め、そこから通勤する現実的なエリアを2〜3か所書き出す。統計は市全体の平均なので、エリアを決めない限り実額には近づけません。
  2. そのエリアと、自分が希望する間取り・面積・築年数・駅からの距離で、実際の募集物件を10件以上見る。1〜2件では偏るため、件数を確保します。
  3. 管理費・共益費を含めた月額の合計で並べ、10件の中央値と、上下に外れた物件が何によって外れているかを確認する。日当たりや築年数など、自分が譲れる条件と譲れない条件が見えてきます。
  4. その中央値を、本サイトの表示値と比べる。差が大きい都市と小さい都市があるはずで、そこが統計と市場のズレです。ズレの幅を都市ごとに記録しておきます。
  5. 敷金・礼金・仲介手数料・保証会社費用・火災保険・鍵交換費用を合計し、初期費用として別枠に置く。月額の計算とは分けて管理してください。
  6. 職場の住宅手当・寮の家賃・借り上げ社宅の自己負担額を求人票と就業規則で確認し、月額から差し引く。ここまで揃って初めて、都市どうしの実額比較ができます。

手順4まで終えると、本サイトの表示値を「自分のエリアだとおおよそ何円上乗せして読む数字」として使えるようになります。この上乗せ幅は本サイトからは提供できません。エリア・間取り・時期によって変わるためで、自分で調べた値だけが根拠になります。

  • 統計値をそのまま予算に入れない。必ず自分で調べた募集家賃の中央値に置き換える。
  • 都市を比べるときは全都市を同じ種類の数字で揃える。統計値と実額を混在させない。
  • 月額と初期費用を分けて管理する。初期費用は月額の差で何か月かけて回収できるかを計算する。
  • 住宅手当・寮の有無は都市の統計には現れない。求人票と就業規則で個別に確認する。

よくある質問

サイトに載っている平均家賃で部屋は借りられますか?
その金額で借りられるとは限りません。この平均は小売物価統計調査の民営家賃で、いま住み続けている人の契約も含んだ平均です。募集中の部屋だけを集めた数字ではないため、これから借りる人が見る募集家賃より低く出る傾向があります。これは統計の定義から導かれる推論で、本サイトのデータで検証した値ではありません。都市を比べる材料としては使えますが、予算表に直接書き写さないでください。
統計の家賃は募集家賃より何割くらい低いのですか?
本サイトのデータでは答えられません。使っている公的統計は募集家賃の分布を含んでおらず、両者を突き合わせる材料がないためです。目安の倍率を示すこともしません。実額が必要な場合は、候補エリアの募集物件を10件以上見て、管理費込みの月額の中央値を自分で出してください。
県で家賃を比べてはいけないのはなぜですか?
同じ県でも市によって大きく違うからです。神奈川県では川崎市67,309円と相模原市52,127円で月15,182円、年182,184円の差があります。想定年収はどちらも546.3万円で同じなので、この家賃差はそのまま残るお金の差(川崎市131,735円、相模原市148,117円)になります。県単位の平均ではこの差が消えます。
東京23区の90,336円はどの区でも通用しますか?
通用しません。これは23の区をまとめた平均で、区ごとの高低は本サイトのデータでは分解できません。この数字は「東京23区は52都市で最も家賃が高く、2番目に高い川崎市より月23,027円高い」という位置づけの確認に使い、実額は住むエリアを決めてから募集物件で調べてください。

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